7・3・4 極軌道の低軌道衛星
極軌道の衛星とは、北極と南極のほぼ上を通って地球を縦に回る衛星(図7・14参照)で、一部の気象衛星(気象衛星には静止衛星もあるが、より詳しい雲の写真を撮るには低軌道衛星を使用する。)、資源探査衛星のような衛星等地球面から800〜1000km程度の低い高度で地球全体の上をくまなく通る衛星軌道があり、これが極軌道の低い円軌道である。後に述べる。COSPAS/SARSATの捜索・救助用の衛星は、このような軌道の衛星であるというよりは、この軌道の衛星に相乗りをして運用されているものといえる。
軌道高度1000km程度の円軌道の衛星は、地球を1時間40分程度で一周するので、その間に地球は経度にして20数度自転する。このような衛星は、最低仰角を5°とすると、緯度によっても異なるが、中緯度で経度にして50数度の幅の地域から見えることになる。したがって、同じ衛星が約1時間40分おきに2〜3回上空を通ることになり、地球の裏側の軌道を合わせると、1日に同じ衛星が、4〜5回見えることになる。システムがよく配置された4衛星から構成されると、地球上のすべての点で、1日に10数回以上は衛星が上空を通ることになるので、COSPAS/SARSATシステムでは、その都度、遭難通報が衛星で受信されては地上に伝達されて遭難位置の測定が行われることになる。