(2) 漸長緯度航法 図7・6
移動範囲が大きい場合は、漸長緯度を利用して経度差を求める方法がある。この場合の計算は次の式による。
ただし、dmp:漸長緯度差
7・1・3 現在位置と推測位置
船は停泊中でない限り常に移動を続けているので、現在位置というものは時々刻々過去の位置になってしまうものである。このため測定した現在位置にはそのときの時刻を必ず付けておかなければならない。例えGPSのように非常に短い時間間隔で船の位置を測定する装置にあっても、すべての測定位置は過去の位置となってしまうし、それぞれの位置の間は針路と航程によって補間しておかなければならない。また、いつその装置の位置測定が途切れるか分からないので、自動的な船位測定装置にあっては、ベースとして針路と航程による船位推測位置計算装置を備え、実測船位を得るごとに新しく船位をリセットしては、推測位置計算を続けるようにしている。
7・2 人工衛星による位置測定
人工衛星による位置測定も、これまで述べてきた位置測定法の中の流れの一つとして説明することができる。
(1) 静止衛星と移動衛星
人工衛星にはその利用目的に応じて静止衛星と移動衛星がある。静止衛星といっても地球上から見て静止しているように見えるだけで、地球を離れて見ればいずれも同じく地球を取り巻く軌道上を移動しているから、静止衛星とはその角速度が地球の自転と同じである衛星のことである。