通信伝送中に1ビットの誤りが何処かに発生したとする。受信符号を送信と同じG (X)で割算して誤りの検出を行う。誤りがあると割り切れないで余りが発生する。このときの余りをすべて図4・5(b)に示した。16種類の通報に対して誤りが発生したビットの位置に対応してすべて同じ余りとなる。1ビット目が誤ると余りはすべて、101となる。このことから誤りのチェック回路で受信符号を生成多項式G (X)で割算した余りが101となったときは受信符号の1ビット目を1→0、又は0→1と反転すれば自動的に誤り訂正ができる。
ハミング符号は1ビットの誤り訂正ができる。複数ビットの誤り訂正をするにはより高次のG (X)を用いたり、幾何学符号のように訂正の手順を組合せることから複数ビットの訂正ができるが検出に長い時間が必要になり、処理回路が複雑になる問題が生ずる。
GMDSSの非常用位置指示無線標識、EPIRBにはBCH符号という誤り訂正用のブロック符号が使用されている。
4・4・4 畳み込み符号
ブロック符号は1区切り(1ブロック)の情報符号の後に誤り訂正符号を付け加えてブロックごとに訂正を行うのに対して、畳み込み符号はブロックの情報を小さな単位に分けてその単位ごとに誤り訂正符号をつけて訂正する方式である。ブロック符号は誤りが連続して発生するバースト誤り(フェージング誤り等)に有効であるのに、畳み込み符号は誤りがバラバラに分布して発生するランダム誤りに有効でありFM放送の回線等に利用されている。
図4・6に比較して概念を示した。ただし、情報の長さを同じとしてあるが畳み込み符号の単位を長くして過去のデータの影響も取り入れることもできる。