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始動順序としては最初にコンタクターBが断の状態でコンタクターAを接すると電動機には電源電圧からリアクトルでの電圧降下分を差し引いた電圧がかかり始動を始める。

電動機が全速度に達するとコンタクターBを接にして全電圧をかけると始動を完了する。このリアクトル始動の場合は電動機が加速し線電流が小さくなるにつれてリアクトルでの電圧降下分が小さくなるため電動機にかかる電圧が高くなり、定格の70〜80%速度において速度が急激に増大する特徴がある。

リアクトル始動の場合は挿入されるリアクトルと電動機のリアクタンス(厳密には抵抗分もあるが値が小さいので無視して考える。)が直列に接続されるので電動機にかかる電圧は挿入されるリアクトルの大きさによって変わって来る。

今、仮に、電動機にかかる電圧が全電圧のχ[%]になるようにリアクトルの大きさを選んだとすると電動機の始動電流も当然のことながら全電圧時の値のχ[%]となる。

即ち電動機電圧に比例して始動電流も下る訳である。一方トルクは電動機の巻線電流の2乗に比例するから始動トルクは全電圧時のχ2[%]の値となる。

挿入するリアクトルの大きさは抑えたい始動電流の値と、必要な始動トルクの値を考慮して決定しなければならないが、リアクトル始動の場合、電動機電圧を全電圧の50[%]となるようにリアクトルの大きさを決め、実際に負荷が要求するトルクに応じて電動機電圧を調整出来るように65[%]及び80[%]のタップを設けておくのが一般的に行われている。

またリアクトルの代りに抵抗を挿入して始動する方法もあり、この方法はリアクトル始動と同じ加速性を持っているが抵抗器の発熱の問題があるため一般には使用されない。

 

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図2.21 リアクトル始動回路モデル図

 

(iv) 始動補償器始動(コンドルファ始動)

この方法は図2.22に示すように単巻変圧器に中間タップ(一般には全電圧の50[%]、65[%]、80[%]の3点を設けて電動機電圧を下げることにより始動電流を抑えて始動する方法である。

始動の順序はコンタクターB及びCが断の状態でコンタクターAを接すると次いでコンタクターBが接となり電動機には全電圧の中間タップ値に等しい電圧がかかり始動を始める。電動機が全速度に達するとコンタクターBが断となり電動機はリアクトル始動の場合同様に電動機回路へ直列にリアクトルが挿入された状態となり、その後コンタクターCが接となり電動機は全電圧運転となり始動は完了する。

 

 

 

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