発電機の容量と台数を選定する場合には、電力調査表に基づき、各負荷時の需要電力や負荷変動の程度を充分に考慮しなければならない。
例えば表2.2のディーゼル貨物船の場合には航海中、出入港中、荷役中の需要電力の間に大きな差がないので360kWの発電機を2台装備し、それぞれの状態において1台運転し、1台を予備としている。
また表3の漁船の場合には、航海中(帰港)、出入港中の需要電力はほぼ等しいが、操業中の電力はそれらの約3倍となっており、航海中(往航)の電力は約4分の1となっている。この様な各状態における需要電力に見合う発電機の容量及び台数とするために需要電力の最大となる操業中は同容量の発電機2台を並行運転し、航海中(帰港)、出入港中はそれら2台のうちの1台を運転することとして80kWの発電機を2台装備している。
一方航海中(往航)の電力は他の状態に比べて非常に小さいため往航専用の14kW主機駆動発電機を装備している。
(1)外洋航行船、(2)外洋航行船以外の旅客船(係留船を除く)、(3)係留船(管海官庁が当該係留船の係留の態様を考慮して必要と認められるものに限る)、(4)国際航海に従事する総トン数500トン以上の漁船及び(1)、(2)、(4)以外の機関区域無人化船には少なくとも2台の発電機(1台は予備)を装備し、航海中に1台の発電機に故障が生じても、予備発電機を運転して、船の推進、人命の安全及び最低限の快適な居住状態を確保するに必要な電気設備を運転できるようにその容量を選定する必要がある。
最近では、原動機に高過給機関が採用される場合が多くなっているので、船内での最大瞬時投入電力を充分に調査し、負荷に適した機関の形式を選定する必要がある。
また、省エネルギー及び省力化のために主機を動力源とした発電機が採用されることが多くなってきたが、船舶設備規程では、外洋航行船の主電源を構成する発電設備は、主機又はその軸系の回転数及び回転方向にかかわらず給電することが出来るものでなければならないと規定している。更に、船舶検査心得で、主電源を主機により駆動する場合には、当該主電源は、びょう泊、出入港及び低速時を含むいかなる場合にも給電できるもので、下記(a)〜(c)のいずれかに該当する場合を原則としている。
なお、(a)及び(c)の場合には他の主発電装置を使用することなく主機を始動できることとしている。
また、外洋航行船以外の旅客船及び機関区域無人化船には上記船舶検査心得を準用することとしている。