日本財団 図書館


2・13・14 自動衝突予防援助装置(ARPA)

衝突予防は、他船などの物標の位置をプロッティングすることにより、その将来位置を予測し、危険かどうかを判定している。これらの作業をコンピューターで自動処理するのが、ARPA (Automatic Radar Plotting Aid)である。

レーダーで得られた目標の信号はデータ処理器で処理され、自船からの方位と距離の信号としてコンピュータに転送される。

レーダーでプロッタにプロットするのは3分か6分の間隔で行うが、ARPAの追尾は電気的に一定時間間隔でプロットしてゆくことに相当する。これは時々刻々検出された目標位置データを先に検出された目標位置データと比較し、同一目標であるか否かの判定をし、同一目標の位置データの変化量を計算するため、同一目標ごとにデータをファイルするものである。

時々刻々変化する同一目標の位置データから、目標の速度、針路を算出し衝突の危険性の有無を判定するものである。目標の速度、針路が判明すれば自船に最も近づく点(CPA: Closest point of Approach)と、それに至るまでの時間(TCPA: Time to CPA)の計算は容易である。このCPA及びTCPAを、あらかじめ自船の状況に応じて設定した最小CPA、及び最小TCPAと比較して衝突危険の有無を判定する。

通常のレーダースコープ上に他船のベクトル(真と相対ベクトルの切換)と、どの目標が危険船であるかを、また衝突の危険船がある場合は警報音及び警報ランプで、操船者に注意を促すものである。

 

2・13・15 プロッティング設備

従来は光学プロッターを使用して、レーダー表示面上で他船の動きをプロッティングしていたが、現在では電子プロッターの機能がレーダーに組み込まれている。本設備は、レーダー画面上の映像を一定時間間隔でマークすると、その物標の動向をベクトル又は数値データで表示する。

なお、将来設備のための電子プロッティング機能(EPA: Electronic Plotting Aid)と自動追尾機能(ATA: Automatic Tracking Aid)に関する性能基準がIMOで審議されている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION