2・9 電熱装置
船で使われる電熱装置には、次のものがある。
(1) 機関室用加熱器
電気式加熱器は、殆んどシーズヒータが使われ、直接加熱液体内に投入する直接加熱方式である。これらのおもな用途は、潤滑油、燃料油の加熱用等である。一般的な使用上の注意事項としては、ヒータ表面は必ず液に接するようにし空焚を防止すべきである。また、シーズヒータは、絶縁距離が少なくて、熱サイクルによる呼吸作用で吸湿し、絶縁低下を起こしやすいのでこの対策を十分に施すべきである。加熱器に使う温度調節方式は普通二位式の制御方式である、即ち、温度が上がれば電源が“断”となり、温度が下がれば“入”とする方法である。
(2) 電気レンジ
調理器具のおもなものには、レンジがあり、オイルレンジ又は電気レンジが使われるが、電気レンジはオイルレンジと比べて、利点が多い。最近では電子レンジも採用される。
(3) 電気暖房器
電気暖房器は、操舵室、各居室などの暖房に使われ、大容量のものは少なく、普通1KW〜3KW程度であって、パイプヒータにフイン(放熱板)を巻きつけたフインヒータがよく使われる。
(4) その他の電熱装置
電気フライヤー、電気コーヒポット、湯沸器、ホットプレート、保温器などがある。
2・10 照明灯、船灯及び信号灯
船内照明装置には、次のものがある。
(1) 船の安全航行と乗組員旅客の安全確保に必要な照明で、船灯試験規程で規定された航海灯、信号灯、その他ボートデッキランプ等。
(2) 船内の作業場、即ち、操舵室、機関室などの照明、荷役照明など。
(3) 居住区域の照明で、装飾的な要素が含まれる。
(4) 危険場所(引火爆発のおそれがある場所)の照明、危険度に応じた防爆構造のもの。