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サイリスタは正転用と逆転用の両方を有するが、一方が動作中は他方は動作を休止していて非導通の状態で待機している。電動機逆転への移行時で電流極性が変る際に、サイリスタの動作切換えに1/100秒以内のむだ時間(遅れ時間)を生ずる程度に制御することができるので、逆転時の運転に対し、かなりな速応特性を要求されるウインチやクレーン等の荷役機械には実用上適切なものとして認められている。図2.129は本方式の基本接続を示す。

(3) 主回路切換え方式

主回路電流供給用のサイリスタ整流器を一組だけを備える方式で、逆転に際しては電流が零になる時点で主回路の極性を図2.130に示すように切換える。極性切換えには開閉器の形式や容量により1/10〜5/10秒を要するので、速応性を要する装置には本方式は適していないが、緩やかな逆転動作を行うものには、経済的な点からその適用が考慮される。

 

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図2.130 主回路切換方式の基本接続図

 

(4) 界磁切換え方式

 

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図2.131 界磁切換方式の基本接続図

 

本方式では(3)項の主回路切換えの代りに、電動機の励磁の極性を転換する方式で並列結線方式に比し経済的であるが、界磁回路が大きなインダクタンスをもっているために電流の変化が妨げられ、界磁極性の切換えに2/10〜6/10秒程度の時間を必要とするので、主回路切換え方式と同じく速応性を要する装置には適当でない。

 

 

 

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