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3]の期間では直流電源からの電流が疎止状態にあるので、明らかに力行状態ではないが、電動機電流は内部残留起電力により電流を持続しようとする働きがあり、ダイオードD3、D4を通じて電動機端子間を短絡した形で循環電流が流れる。

1]の期間では、直流電源側にダイオードD1、D4を通じて図2.115に示すように電流を帰還するように流れる。実際には平滑コンデンサに充電されることになる。

1]、3]の期間の電流は直流電源側から見ると電動機に仕事を与えていないので無効電流とみなされる。この無効電流の処理を行うのにダイオードD1〜D4が電動機から電源側に電流を帰還するように動作するので、これらのダイオードを帰還ダイオードと称している。

(b) インバータの電圧、周波数

交流電動機の速度は周波数に比例するので、インバータは周波数を電動機の所要速度に応じて制御することが必要であるが、周波数だけを低く下げると電動機界磁の磁気飽和を起すので、これを抑制する目的で、出力電圧は周波数に比例するよう制御される。この比例制御により電動機界磁の磁束密度がほぼ一定に保たれるので、同一負荷電流に対し定トルク特性が得られる。

(c) 出力電圧波形の制御

電流波形の制御法にはいろいろな方法があるが、電源がほぼ一定電圧の直流から整流素子のON-OFF制御により交流に変換し、その電圧波形を正弦波に近づけると共に、電圧を任意に制御できる方法として正弦波パルス幅変調(PWM)法があり、広く採用されている。

この正弦波PWM法では図2.117に示されるように不等間隔、不等パルス幅から成る多重パルス波形の制御信号を形成し、電圧及び周波数の所要値に応じてパルス幅とパルス間隔を変化させる。

この不等パルス幅PWM制御法は応答性がよく、かつ、インバータ効率が高く、結線方式を適当に選べば変圧器の如き昇圧装置を用いないでも、一次交流電源電圧とほぼ等しい出力電圧が得られる。

 

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図2.117 不等パルス幅PWM制御波形

 

 

 

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