以上述べたさまざまの力は個々別々でなく、同時に組合わされて起こるので船全体の構造も総合的に取扱わねばならないから各部材が弾力的に組合わされている。
したがって、船体の構造物に穴をあけるとか又は変形を必要とする工事には、関係者と十分連絡をとるようにし独断で行ってはならない。
2・3 船体の区分け
船の種類により一定はしないが、一般的に次のとおり大別される。
(1) 操船・航海用諸室
(2) 居住区域
(3) 機関区域
(4) 船首倉・船尾倉
(5) 貨物倉(貨物船、貨客船等の場合)
(6) 旅客室(旅客船、貨客船等の場合)
(7) 魚倉、魚獲物の処理場(漁船の場合)
(8) 船底部(二重底又は単底)
これらの区画は、船の長さの方向に隔壁で区切りされ、上下の方向では甲板で区切りされている。更に、これらの区画は必要に応じて、小区画の倉庫、室等に区切りされ、これに通ずる通路、入口及び扉等があり、貨物倉庫等の上部甲板には、貨物等の積降ろしのためのハッチが設けられる。
次に貨物船の一例について以下簡単に述べる。
2・3・1 諸室、倉庫、通路等
(1) 操船・航海関係室
操舵室、海図室、無線室、かじ取機室等がある。
(2) 居住区域
船員常用室として船長、船員の専用する寝室、食堂、食器室、糧食庫、洗面所、浴室、便所、病室、医務室、賄室等とこれらに通ずる通路がある。
(3) 機関室
主機関、ボイラー補機関等が設置されるが特殊なものとしてここから後部中間軸に沿って軸路及びここから上甲板に通ずるエスケープトランク(逃げ出し通路)等がある。
(4) 倉庫類
貨物倉(cargo hold)は積荷の種類に応じて内部の設備は異なる。船首尾倉は名称のとおり船首及び船尾端に設けられ清水等を入れる。船首倉と接して錨鎖庫がある。また、小室の倉庫として甲板用諸器具、滑車類、救命具及び索類を格納する倉庫等がある。