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2・1・2 喫水(draft)

喫水とは水面に浮かぶ船の水面下の深さをいい、この深さは図2に示すように、水面からキールの下面までの垂直距離を指すが、設計にはキール上面までの喫水を用い、これを型深さ(molded draft)ともいう。(トン数法施行規則第1条第2項の1号)

満載喫水(full load draft)とは、貨物を許容された全量まで積込んだときの喫水をいい、これは船の予備浮力、強度など船の安全を考慮して一定方式で算定される。

船体が水面と交わる線を喫水線といい、満載のときの喫水線を特に満載喫水線(load water line, L. W. L.)という。(満載喫水線規則)

 

2・1・3 乾舷(freeboard)・満載喫水線の標識(load line mark)

乾舷(フリーボード)とは、図2・2に示すように船の長さの中央において、上甲板(この場合乾舷甲板という。)の舷側における上面から満載喫水線まで測った垂直距離をいう。そして船の種類、構造、航行区域又は季節によって、各種満載喫水線があり、これに対応するフリーボードも各種あり、夏期(S)又は冬期北大西洋(WNA)満載喫水線(ロード・ライン・マーク)等のように呼ぶ。(船舶安全法第3条、満載喫水線規則、船舶区画規程)

ロードラインマークは船の長さの中央両側の船側外板に標示した満載喫水線のマークのことである。図2・3はロードラインマークの代表的な一例を示したもので、これは我が国の遠洋及び近海区域の船の中央部の両舷側に標示したものである。このほか沿海区域の船舶又は漁船には、円標の代りに逆三角型又はV字型のものが用いられる。

 

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図2・3

 

2・2 構造のしくみ

船舶が水上に浮かんでいるときは、全体としては、船体の重量と浮力が釣合って浮かんでいるので船体の各部も浮力と釣合っているように見えるが、実際にはそうではなく、一般的には船体の中央部は体積が大きいから浮力は重量にまさり、また、船首、船尾では逆に重量が浮力にまさっているというように船体は部分的には下向の或いは上向の力を受ける。また、波浪を受けるときには、各方面から船体各部に機械的力を受ける。これらの力は船体に変形を起こそうとするので船体の構造は実用上これらの各種の力に耐え有害な変形を起こさないものでなければならない。以下これら船体の受ける力を分析しながら、これらに対応する構造のしくみをみよう。

 

 

 

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