日本財団 図書館


下松市消防本部(山口県)

019-1.gif

 

当本部は、山口県の東南部に位置し、人口約五五、〇〇〇人、面積八九・三六km2を管轄している単独消防本部である。

当地域は、古くは瀬戸内海沿岸に漁村と塩田が栄えるとともに、交易港として発展し、また、山陽道の要衝として周防東部の交通の中心にあることから商業の町として隆盛を極めた。

昭和一四年に市制を施行、新幹線車両の製作、鋼板表面処理、半導体産業関連の大企業工場等の進出拡張や火力発電所の建設等により、今日では周南工業地域の一翼を担い、多角的な臨海工業都市として栄え発展を続けている。

一方、瀬戸内海国立公園に指定されている自然環境とレクリエーションの資源に囲まれた風光明媚な笠戸島は、昭和四五年に念願の笠戸大橋が実現、ケビンやオートキャンプ場を備えた家族旅行村を設置する等、山口県内外のリゾート地として開発されている。

文化財は、国指定の重要文化財「多宝塔」があり、これは、室町時代に藤原鎌足の創建によるものと伝えられ、その優美な姿は同時代の建築美を誇るものであり、毎年、文化財防火デーに消防演習を行い文化財愛護の思想の高揚を図っている。

消防本部は、昭和二四年に設置され、現在一本部・一署、消防職員五七人と消防団員三六〇人が、安全で安心できる災害のないまちづくりを目指し、「星が降ったという伝説の生きるロマンと温もりが漂うまち下松」を、二四時間キラリと目を輝かせ見守っている。

★防火対象物に対する防火対策!

当本部管内においては、近年、郊外型大型店舗の進出が急増する中、防火基準適合表示制度に係る適マークの交付率を上げるよう防火対象物管理権原者に対する防火管理指導を徹底して行い、実績をあげている。

また、当市の長年の構想であった、一つの地区内に保健、医療、福祉施設等複合する用途を集積した「ふくしの里」が平成一二年度に完成したことにより、市中既存の病院や社会福祉施設及び市関係部局等を含めた「検証対象物連絡協議会」(平成一〇年四月発足)を拡大し、平常時における防火管理あるいは夜間における防火管理検証マニュアルに基づく訓練の情報交換、さらには万一の発災時における相互支援等を目的とした活動を促進している。

★市民への防火広報活動!

一方、市民に対する防火意識の高揚に関しては、春秋の火災予防運動期間中はもとより、市民に対する広報活動の一つとして、市内にあるケーブルテレビ局の理解を得て、火災、救急等の発生状況、あるいは火災を未然に防止するための各種情報を年間を通して放映し、市民の防火意識の高揚に努めている。

また、自主防火組織の育成の一環として、管内の少年消防クラブ員から毎年秋の火災予防運動期間中に防火標語を募集、優秀作品を表彰するとともに、各クラブ代表作品を翌年の消防出初め式式典会場に掲出し、関係者に少年消防クラブ活動の一端を披露することにより防火意識の高揚に役立てている。

★点から面の行政に向かって!

「孤高に陥らず、孤独を恐れず」をモットーに消防の陣頭指揮を執る清水消防長は、「今後、消防防災行政の業務を遂行する上では、消防機関(点)だけが行っていく時代ではなくなっており、まち全体(面)を巻き込んで取り組むべきときに来ている。当本部は、「隗より始めよ」をバックボーンに、市関係部局と積極的に連携強化を図り、また、相互支援の観点から市民・企業の声を反映させていく等関係方面に地域防災のシステムづくりを積極的に働きかけ、消防防災意識の醸成と消防行政の参画意識の高揚に努めている。」と力強く述べられた。 (高田利広)

 

019-2.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION