火災
中高層建物火災(共同住宅)
徳島市消防局(徳島)
はじめに
徳島市は、徳島県の東部に位置し、市内北部を流れる吉野川がつくりだした沖積平野の三角州上に造られた面積一九一・二三km2の人口二七万人の都市であります。
土地は南西に高く、東北部に向かうにしたがい次第に平坦になっていますが、地質が肥よくで気候が温暖であるところから、農作物栽培の適地となっています。
市域は広く、ほば中央部に徳島の象徴というべき眉山(標高二七六・七二m)、城山(標高六一・七m)及び南部に阿波三峰のひとつである中津峰(標高七七〇m)と、市内には、吉野川をはじめ、勝浦川、園瀬川、新町川、鮎喰川、助任川など多くの川が流れ、水運に恵まれています。このことが、本市木工業の発展にも大きく寄与してきました。
また、これらの小分流の間には、常三島、福島、寺島、など「島」のつく地名が多く水の都の感を強くしています。
平成一〇年四月五日に明石海峡大橋が開通し、徳島県と阪神地域が陸路直結されてから二年が経過、また、平成一一年五月に尾道・今治ルートが開通して、四国は「三橋時代」を迎え、徳島市も高速・広域交流と、新しい四国の玄関として地域環境も大きく変わろうとしております。
このような、時代の変化に的確に対応するために、二一世紀にむけた「住みよい安全都市とくしま」をめざしております。
消防体制は、消防局、二署、二分署、二出張所、職員二四八人で各種災害に対処しています。
消防団は、団本部と一九分団、団員五六〇人で組織されています。
ここに紹介する事例は、七階建ての共同住宅(分譲マンション)六階の一区画内から夜間に出火し、一棟部分焼(一世帯全損)の他三世帯が水損し、出火室に居住する高齢者二人(女性一人、男性一人)が負傷した火災であります。
二 火災の概要
(1) 出火日時
平成一二年二月一六日 一八時四八分頃
(2) 覚知時刻
一八時五六分(一一九)
(3) 出火場所
徳島市庄町二丁目四四番の一
(4) 鎮圧時刻
一九時二七分
(5) 鎮火時刻
二〇時一七分
(6) 気象状況
天候 晴
(一八時五六分) 気温 一・〇度
相対湿度 四九・二%
実効湿度 五四・一%
風向 西北西
風速(最大) 四・九m/s
(7) 被害状況
部分焼 一棟
焼損床面積 七一m2
り災世帯 八世帯 一四名
損害額 一七、七六〇千円
負傷者 二名
(8) 出火原因
調査中
(9) 出動車両及び人員
消防署 一〇台 三七名
消防団 四台 七五名
三 出火現場概要
現場は、徳島市西消防署から、北へ約四〇〇m離れたところで、建物東側のみ市道に面し、道路幅員が狭く、梯子車等の特殊車両の進入は困難な地域である。
出火建物は、平成六年一月に建築された鉄筋コンクリート造七階建ての共同住宅(分譲マンション)で、建て八九〇m2、延べ四、六五四m2、一階は七室、二階から七階は九室の合計六一戸のうち六〇世帯が入居しており、出火室である六〇三号室には、高齢者(二人)が在室していた。