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IFCAA総会マレーシアで開催

アジア消防長協会

 

第二一回アジア消防長協会(会長池田春雄東京消防庁消防総監)、理事会・総会が平成一二年八月六日から八日まで三日間、マレーシア国クアラルンプール市で開催された。総会には、一四カ国二地域の代表者約六〇〇人(外国からの参加者七五名)の参加を得て、「パレスオブザゴールデンシーズホテル」で行われた。わが国からは三品秀夫川崎市消防局長を団長とする海外消防事情調査団など約四〇名が出席した。

総会では、マレーシア消防救助庁長官、ダド・ジャファ・シディック・ビン・タンビー氏が議長に選出され、会務報告、事業報告などが行われた後、決議事項として、(1)火災予防体制の整備について「アジア各国における産業、経済の発展や都市化の進展により、各都市の建築物は、高層化大規模化の傾向を示しており、ひとたび火災が発生、拡大した場合には、人命危険の増大、消防活動の困難性が憂慮される。(中略)各国の事情に応じた火災予防体制の整備を図るべきである。」(デレク・ペレイラシンガポール民間防衛局幕僚長)、(2)消防装備の充実について「近年、アジア各国で発生する災害の態様は、産業経済の発展に伴う社会環境の変化により複雑多様化しており、我々消防機関も、より専門的な知識と最新の装備による対応が求められている。このため、イフカ加入各国は、時代の変遷とともに変化する災害に的確に対応するため、消防装備の開発・改良・技術の向上に努めてきたところであるが、更にアジア消防長協会を基盤として、消防装備の科学化、近代化についての知識、技術の情報交換を積極的に行い、もってアジア地域における消防力の総合的向上に努めるべきである。」(石原秋春名古屋市消防局長)、(3)救急救助体制の高度化について「アジア各国では、地震、台風等の自然災害、更には、都市化の進展、社会環境の変化等による災害等が依然として多発しており、被災者の救出・救護及び搬送業務等の任務を担う救急、救助隊員によせる国民の期待は極めて大きい。(中略)より質の高い救急救助活動ができる体制の充実に努めるべきである。」(チャトリ・スダスナタイ警察庁首都警察局次長)、の三項目が満場一致で採択された。また、第二二回総会の開催地について審議され、次回は二〇〇二年(平成一四年)に京都市での開催が正式決定され、原田一郎京都市消防局長が受け入れの挨拶を述べた。引き続き各国の消防事情の発表及び技術発表が行われ、(1)日本消防の海外への派遣体制(IRT)について(金子勉東京消防庁指導広報部長)、(2)一九九九年の香港空港での墜落事故(香港消防局新界区司令部次長)、(3)テロリズムと救急業務(オーストラリアNFPAアジア太平洋事業部長)、(4)規範に対する積極的な見直し−新たな千年期のためのひとつのモデル−(シンガポール民間防衛局幕僚長)が各々発表された。翌八日には、文化財の消防対策(原田一郎京都市消防局長)、日本における救急事業と次世紀への展望(山内伸一仙台市消防局警防部長)等の技術発表を行った。最後に閉会式が行われ、田代昭次北九州市消防局長が「アジア消防長協会は、一九六〇年に創設され、本年、輝かしい四〇周年を迎えるに至った。この間、我々は『消防に国境なし』の理念のもと、アジア消防長協会加入各国の連絡協調を強化するとともに、相互の理解と友好を深め、消防体制の充実を推進してきた。二一世紀を迎えるにあたり、アジア消防長協会は、アジア地域における消防の発展と安全の確立のために、(1)火災予防体制の整備、(2)消防装備の充実、(3)救急救助業務の高度化を推進する」と高らかに宣言した。

 

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