なお、実験は実際の使用状態に合わせるため、予備のこし器にも同様のボルト締め付けトルクを作用させて行った。
実験は、ボルト締め付けトルクが作用していない状態を0として、すべての計測を行っている。トルク98.1N・m(10kgf・m)のときの応力値を棒グラフで示したものが、図−2である。図から解るように、ふたには圧縮側の応力(ゲージ番号ではNo.19とNo.21が該当)が、ふた押さえには引っ張り側の応力(ゲージ番号ではNo.16とNo.17が該当し、ゲージはふた押さえの内側に貼ってある)が発生しているのが解る。特にふた押さえの湾曲部分に貼ってあるゲージ番号No.16では287MPaの大きな応力が発生している。JISにおける締め付けトルクの試験条件は49.ON・m(5kgf・m)であり、このときの同位置での応力値は133MPaで、安全率は3.38(S=450/133=3.38)であった。
一方、こし器の複雑な形状によると考えられるが、本体側面(ゲージNo.18)において圧縮応力が発生している。ボルト締め付けトルク98.1N・m(10kgf・m)のときのボルトに発生する軸方向の応力を計測した結果、軸方向の力は20734N(2114.2kgf)であった。この値を用いて、1/2の簡易モデルでFEM解析を行った。その解析結果が図−3である。やはり、わずかではあるが、ゲージNo.18付近では圧縮応力が発生しているのが解った。この圧縮応力の発生は、後に加圧した際に他の本体部分に比較してあまり大きな引っ張り応力が発生しなかった原因だと考えられる。