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ISO/TC 8セクレタリートレーニングセッションに出席して

 

ISO/TC 8セクレタリー

小郷一郎*

 

さる6月14日(木)、15日(金)の両日を中心に、スイスのジュネーブ(Geneva)にあるISO中央事務局で開催された標記トレーニングセッションに参加したので、その概要を報告いたします。

「トレーニングセッション」とは云っても新米セクレタリーである小生一人を対象とし、マンツーマン形式でISO中央事務局の各スタッフと初顔合わせを兼ねて、各事務局スタッフの仕事内容の説明、ISO/IEC Directivesの運用方法、TC 8セクレタリーの責任と権限、他の国際組織との連携、円滑な運営のためのコミュニケーション方法などについて、質疑応答を交えて実施したものであります。

今回のセッションで一番印象深かったのは、ISO中央事務局はほぼ完全に電子化された業務形態の中でその機能を発揮していると云う現実であります。約200もあるTCからの規格に関する煩雑なやりとりは、電子化なくして達成されないとのTMB(技術管理評議会)の方針の基で、DIS及びFDISの投票を含めて本年中にはISOサーバーを通してほとんど全てがEメールで可能となるように、急ピッチでシステムの構築が進められております。この分野の責任者であるMr.Weissinger(ISO/TMBセクレタリー)は、自信を込めてそのシステムの完成が間近である旨説明し、TC 8サイドもこの波にのり遅れることのないよう注意された。〔今後TC 8サイドは、AGのみならず全てのコミュニケーションは、電子化するようTC 8議長及びセクレタリーが中心になって進める必要があると感じた。〕

次に、ISO/TC 8と他の国際組織との連携については、いうまでもなくIMOとの協調が最優先であり、TC 8はISOを代表してIMOに参加する地位をISO中央事務局から委託されております。

IMOとの関係についての詳細は、TC 8の「戦略ビジョン」及びこれを具体化した「ビジネスプラン」に詳細に書かれており、これを紹介したNews Letter第2号も最近発行しましたので、ご参照ください。

また、今回のセッションのあと、ISO中央事務局のMr.Abramの紹介で、ISO中央事務局の近くに位置するECE(United Nations Economic Commission for Europe:国際連合ヨーロッパ経済委員会)の運輸部門担当Mr.Novikovを訪問した際、「内陸航行船」に関する環境問題を含めた最近の国際標準化の必要性が強調され、IMOでは扱っていない分野においても、TC 8の活動(例えば、SC 7:Inland Navigation及びSC 11;Intermodal and Short sea Shipping)に期待されていることが理解できたことは幸いでした。

このほか、TC 8としては部分的ながらILO(船員労働関係)やWHO(船員安全衛生関係)との連携も今後配慮してゆく必要がある旨提言されております。

最後に、6月のジュネーブは緑が美しいベストシーズンで、レマン湖ではセーリングヨットコンテストが開かれており、湖面いっぱいのヨットとともに、遠くにモンブランを眺めることができました。

*(財)日本船舶標準協会 国際部長

 

 

 

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