この原案は、ISO理事会に提出され、1968年3月、ISO推薦規格として承認された。
1990年10月、ISO/TC 8東京会議が開催されたとき、当時のSC 16で見直しが提案され、担当メンバー国としてドイツが選任された。その後、ドイツから原案が届いたので、SC 6の事務局である財団法人日本船舶標準協会は、1996年12月20日付け新規提案事項として文書ISO/TC 8/SC 6 N03によりSC 6/WG4(マグネティックモーメント作業委員会)加盟国に通知し、各国に改訂意見を求めた。この文書はISO/R 694-1968と内容は全く同一で、章節を新しくしたものであった。
この文書に対する主な国の意見の要点は、1997年6月10日ドイツによって概略、次のようにまとめられた。
英国:基準磁気コンパスを装備するとき、コンパス下面のデッキからの距離にあいまいな点がある。船内の構造物からの最短距離についての規定が図によって与えられるが、その図では、全長83m以上の船舶では、3mとなっていて実際的でなく、その必要もない。磁気コンパスのデッキからの高さについて何も規定がないので、審議が必要である。
オランダ:調査により、中断されてない固定磁性材からの最短距離は、全長40mを超えるものは1.8mにし、30m未満の船舶に対しては1.5mにすべきである。限定業務に従事する船舶については、コンパスから鋼製デッキまでの鉛直距離は1.5mにすべき、など。
日本:オランダの意見に賛成するが、漁船と他の船種は分けて規定すべきである。
ドイツ:固定される装置を磁気コンパスにどれほど近づけてよいかを定める磁気コンパス安全距離は、それぞれのマニュアルに記載すればよいが、移動できる装置には常時マークしておかなければならない。
その後、英国からもオランダと同じ意見が出されたが、船内構造物からの最短距離の図に対して、特に、磁気コンパスのデッキ上の高さ1メートルについて、日本と英国の意見が強かったが、結局、従来の最短距離についての図に規定されるものが満足されるならば、磁気コンパスのデッキ上の高さは1メートルでよいということになった。ドイツの提案はそのまま、新規に挿入され、更にISO規格の編集上の修正があり、形式的には大分洗練されたものになり、ISO 694-2000(船舶及び海洋技術−磁気コンパスの船内装備位置)は、2000年2月1日に発刊された。