ISO 8846「舟艇−電気装置−可燃性ガスからの点火保護」性能確認試験
この規格は、機関室など可燃性ガスの発生する可能性のある場所で使う電気機器からの引火防止に関わる要件を定めており、機関や個別の電気機器などについて規定した舟艇関係のISO規格において、<ISO 8846による点火保護がなされていること>と引用されています。従って、広い範囲に影響する規格とも言えます。
前述のように、この規格内の幾つかの試験方法のうち、この<点火保護>に関するものが、「分科会の実地体験を通した確認を要する」と判断した試験法ですが、一般に言う<防爆>と言う概念に比べても、試験法や判断が違うため、<同等>とも<準防爆>とも言えない性格になります。
ポイントとなるのは、「機器内に可燃性ガスを入れて強制的に点火しても、試験箱内の可燃性ガスには引火しない」ことなのですが、手順の中で、試験箱内のガスが可燃状態になっているかどうか着火確認するステップがあり、爆発を伴い、かなり物騒な方法でもあります。また、一般的に舟艇用機器は、かなり小さいサイズのため、試験装置の取り回しなどにも、かなりの工夫が必要でした。
幸いにも、船舶艤装品研究所で担当所を引き受けて頂いたので、この分野での豊富な知識・経験・装置をフルに活用出来、無事に試験内容の確認が出来ました。更に、幾つかの実用的な改善も織り込め、ISO規格を補う良い提案が出せたと思います。
供試品には、<一般的な部品で>と言うことで、電動ビルジポンプとエンジンリモコンユニットを採用しました。また、試験の目的は、あくまでも試験方法の確認・把握でしたが、これらの供試品もお陰様で、要件に合格することが出来ました。
なお、詳しい試験内容や考察は、平成12年2月に、当会より報告書が発行されておりますので、ここでは省略します。関心のある方は、そちらをご確認下さい。
終わりに
ISO舟艇規格は、まだ2〜3年は集中整備が続きます。もともと、この業界は規模の小さい業界で、その上、この不況をまともに受けており、なかなか余力のない状態ですが、関係会員の皆様のご協力と委員各位のがんばりで、良い規格作りを進めてまいります。今後とも、よろしくお願いします。