舟艇ぎ装専門分科会の活動状況について
財団法人 日本船舶標準協会
標準委員会 マリンレジャー用舟艇部会
舟艇ぎ装専門分科会長 長谷川宏*
初めに
舟艇ぎ装専門分科会は、本会の標準委員会の中で、舟艇を扱う4分科会の一つです。この中で船体一般専門分科会が、艇体全般の性能や構造などをカバーするのに対し、舟艇ぎ装専門分科会では部品・機器・設備系など、主に構成要素に関わる規格を扱います。当専門分科会の役割は、標準委員会傘下の他の専門分科会と同様ですが、特にここ数年、舟艇関係のISO規格整備が急ピッチに進んでいる状況に連動して、必然的に、主な活動はISO規格作り込みへの参画と、そのJIS化に絞られてきています。
ここに、背景にあるEUボート指令と平成11年度当専門分科会活動の中から、「性能確認試験/ISO 8846舟艇−電気装置−可燃性ガスからの点火保護」について、紹介します。
EUボート指令
欧州連合が、日米など圏外への競争力確保と、圏内での自由な流通を可能にするため、指令により統一した安全要件を定め、これに適合する物でないと圏内での売買が出来ないとしたのが、EU指令であることは衆知と思います。
舟艇も1998年6月に指令が出され、既に実施されていることと、その具体的要件がISO舟艇規格によるとしたことにより、待ったなしでISO舟艇規格整備が進められている訳です。日本の舟艇は、欧州への輸出が比較的少ないのですが、船外機など機関関係は輸出が多く、即、現実的な問題となっています。また、結果としてグローバル・スタンダード色の濃いものになるため、どうしてもJIS化を前提とした真剣な草案審議が不可欠となります。
なお、舟艇に関する国際規格の審議は、ISO/TC188(スモールクラフト専門委員会)の約30のワーキング・グループで進められております。
平成11年度舟艇ぎ装専門分科会の活動
このような状況の中で、舟艇ぎ装に関連した規格を中心に、主に次のようなテーマに取り組んできました。
*ISO規格各ステップ草案検討と提案、JIS化草案審議
・ISO 9093 シーコック及び船こく貫通金物
・ISO 10088 固定式燃料装置及び燃料タンク
・ISO 10133 直流電気設備
・ISO 9094 防火
*JIS草案審議を終了
・ISO 8848及び9775遠隔操だ装置(JIS F 1031として制定予定)
*JIS化、諸審議がほぼ終了し、平成12年度まとめに入る
・ISO 8846 電気装置―可燃性ガスからの点火
保護
特に最後のテーマは、性能確認試験を含めた重要テーマと言えるものです。
一般に専門分科会審議は、委員全体の知識・経験を基に、調査・ヒヤリングを通し、内容の妥当性を判断していく訳ですが、時に、委員総力を超える内容となると、どうしても分科会独自のワークにより、妥当性を判断する必要性が生じてきます。
*ヤマハ発動機株式会社マリン事業部
舟艇事業部技術室技術管理グループ主任技師