危険事象(hazardous event):危険状態によって危害が生じる事象
リスク:危害発生のがい然性と危害の過酷さの組み合わせ
例:合理的に予想可能な誤使用から発生予想されるリスクを含む。
許容リスク(tolerable risk):現今の社会的価値観から受容されるリスク
規格によりその差異が若干あるので、注意が必要。参考として各規格の考えを以下の図に示す。
安全(safety):受容できないリスクから免れている状態
2) 安全性と信頼性の相互関係
(1) 安全性と信頼性の意義が一致する場合の考え方
安全装置や保護回路の信頼性は高くなければならないが、この意味では一致している。
心臓病対策の埋め込み型ペースメーカは人間に対する安全装置と考える場合、これは高信頼性にて成立しているものと見なせる。
フェールセーフで停まっただけでは機能システムとしては不完全であり、再起動が合理的に成功し初めて意義があり、その意味では信頼性は大切である。
また、フォルトトレラント技法はシステムとしての信頼性向上に必要であり、ダウンしなければ保全に入ることなく安全といえる。多層防御の考えはそれぞれの段階で信頼性をあげることが重要であり、フェールセーフ(FS)の機構が働く前にどの層かで防御が作動しなければならない。
注) フェールセーフ(FS)は一機器が故障しても代替機器が作動し、機能が継続する。
フォルトトレラントは一機器に損傷などが生じても、所定期間機能を継続し、適正な検査保全により初期状態に復旧する。
(2) 安全性と信頼性の意義が相違する場合の考え方
信頼性の高い装置でも、人間の進入により危害を与える可能性がある場合には稼動を一時止める必要がある。これはフェールセーフであり、稼働率より安全性を優先させねばならないし、危険を検出してから安全装置を作動させるのではなく、積極的に安全を確認していくシステムに設計すべきである。
(3) システム信頼性の向上
機能システムでは、その信頼性の高いもは安全性も高いことが多く、それゆえ安全性を高めるには自動化を進め、信頼性を向上することが一つの方法である。制御システムの信頼性が規定値を満足すれば安全関連系はそれにより代替してよいと判断・認証される時代になった。
以上に述べた、安全性と信頼性の関係を、新旧JIS-Z8115を参考にして、要約すると表のようになる。安全性については(新)以外は旧とする。