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3a-2 ETA (Event Tree Analysis)

 

(a) ETAの特徴

ETAは、システムの事故をまねく原因となる望ましくない初期事象(Initiating event)を分析作業のスターティング・ポイントとし、その初期事象が最終的にもたらす結果に至までの各段階の問題点を分析する手法である。

分析作業のスターティング・ポイントである初期事象としては、事故の誘因となる望ましくないシステムのコンポーネントの故障、システム自体の不調、ヒューマンエラーなどをとりあげる。次いで、こうした初期事象が発生した場合に設計上とられている安全対応策がどのように機能するのかを分析する。この安全対策の機能面の分析には、監視警報装置、防災設備などのハード面の他に、オペレータの判断、行動に関わるヒューマン・ファクターも加味しなければならない。また、環境ファクターからの検討も加える。

通常、初期事象を図の左側に記載し、論理の展開結果を右側に向かって記載していく。また、図の上部に事象、安全装置の作動あるいは対応措置などの関連事項を時系列にしたがって記載する。安全装置が正常に作動するか否か、オペレータが適切な行動をするか否か、といった論理を展開する場合には、正常な作動あるいは適切な行動は図の上部に、誤作動や不適切な対応は図の下部に記載展開していく

図に示すように各事象および各安全装置あるいは各対応措置が適切な作動または行動をとる確率が明らかであれば、その初期事象が最終的にもたらす結果の発生確率を求めることができる。しかし、現実にはこれらの発生確率は、得難い場合が多い。

 

037-1.gif

注) S:正常に作動または操作

F:誤動作または誤操作

PA:初期事象の望ましくない事故の誘因となる事象・行動の発生確率

PB:対応策No.1の誤作動・不適切な行動の発生確率

PC:対応策No.2の誤作動・不適切な行動の発生確率

PD1、PD2:対応策No.3の誤作動・不適切な行動の発生確率

 

 

 

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