2-3 ISO 12100/JIS B0008、0009の要旨
この規格は第1部と第2部よりなる。
第1部は「基本用語と方法論」よりなる。設計者・製造者が機械類で安全性を確保するための一般的設計方法と、それを支援するための基本的用語、危険源の詳細、安全方策の選択指針が示されている。安全の議論は兎角かみ合わないことがあるので説明・議論を推進させる為、定義の理解は大切であることは言うまでもない。安全性確保のための一般的設計方法は、対象とする業務作業の分析方法はリスクアセスメントに基づくものとしている。
第2部は「技術的原則と仕様」として第1部のブレークダウンを主にしている。
機械類としての対象は、一般的にはプレス、固定式研削機械、産業用ロボット、木工機械、梱包機械、食品加工機械等であり、交通システム、プロセス産業等は該当しないと推定されるが、そのフィロソフィーは参考になる。機械類と使用者の間に危険回避の為の空間と時差を作ることにより安全を確保することを目的としている。
以下主要点をJISB0008、0009に基づき解説する。
1) 危険源(ハザード)の詳細
機械的危険源、電気的危険源、熱的危険源、騒音による危険源、振動による危険源、放射線による危険源、材料及び物質による危険源、機械設計における人間工学原則の無視により発生する(生理-心理学的な要素を含む)、各種危険減の組み合わせによるもの
2) 安全方策の選択指針
設計段階で組み込まれる方策と使用者が実施する方策との組み合わせによりリスク低減を図る。設計者は全ての状況下で次の手順を実施すること。
(1) 機械の各種制限を明記する。
(2) 危険源を同定し、リスクを査定する。
(3) 可能な限り危険源を除去するか、又はリスクを制限する。
(4) 全ての残存リスクに対してもガード又は安全装置・防御物を設計する。
(5) 全ての残存リスクについて使用者に通知し、かつ警告をする。
(6) 必要に応じて追加予防策を考慮する。
設計段階で織り込む安全方策の選択方針を次ページに図示する。
3) リスクアセスメント
リスク アセスメントで配慮されるべき要因は、傷害の発生確率と予見可能な傷害の最大の強度である。
基本概念は設計者及び安全担当技術者がもっとも適切に安全対策を決めて技術レベル及びその結果としての制約の下で最も高い安全レベルに到達するように役立てるものである。少数の事例や、災害の強度が低いことを示すデータのみに基づいて機械に必要な安全レベルを議論することは出来ない。特に、事故経歴・規模が少ない/低いからという理由だけでリスクが低いレベルであると想定しないこと。従って、これにより安全方策を緩和しないことである。