2-2 ISO/IEC Guide 51の要旨
本ガイドは1990に初版が発行され、徐々に改定され最新は1999版である。安全(環境を含む)にかかわる規格を作成する場合に適用される。IMOのFSAはこの部分を強調採用している。基本原則は広く製品の設計や保全にも利用できるものである。リスク主体のアプローチを採用し、意図する使用方法及び合理的に予見可能な誤使用の双方を考慮して、製品とのライフサイクルを扱う。安全に関し、上位に位置する階層ガイド・規格である。
1) 安全という用語の使用についての特記
本来保証できないリスクに対して安全性という形容詞が付与されるとリスクの保証として解釈される可能性がある。従って推奨される使用方法は目的とその能力により使い分ける必要がある。例えば、安全帽は保護帽(着用していても必ずしも安全は達成出来ないケースが多々ある)と変更されている、安全インピーダンスを保護インピーダンス装置、安全材料をノンスリップ材、技術安全局は安全達成が不完全であれば安全保護局とするのがこの定義に則する。
2) リスク削減プロセス
技術のあらゆる分野に於いて安全は考慮されている。対象が複雑になるにつれ、現代社会では安全がかなりの重要性を持っていることは明らかである。絶対安全は存在し得ない。多少のリスクは残る。全て相対的な安全であるにすぎない。
許容可能リスクは、絶対安全の理想と製品、工程、サービスによって満たされるべき要求と、ユーザーの利益、目的適合性、費用対効果の優秀性および関係する社会の慣行等との間のバランスによって定められる。
リスク削減プロセスの基本として、Hazard Identification(ハザードの同定)、Risk Estimation(リスクの評価)およびRisk Reduction(リスクの削減)を考慮する。
許容可能リスクは、リスク分析とリスク評価を組み合わせたリスク アセスメントの反復プロセスによって達成される。アセスメントにおいて予見可能な誤使用(miss use)を考慮することが求められている。
アセスメントは以下の手順により行う。図に手順を例示する。
(1) ライフサイクルにおける危険源を突き止める。
(2) 突き止められた危険源から発生するリスクを推定し、評価をする。
(3) リスクが許容可能か否かを判断する。(例:同類事項との比較等による)
(4) リスクが許容可能でない場合、リスクが許容可能になるようにリスクを削減する。