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I-2 造船業の施策

現在、世界の造船業は1970年代に大量に建造された大型外航船の代替需要期にあたることから、過去20年で最高の建造水準となっている。しかし、新興造船国における建造能力の増加や既存設備の生産性の向上等により供給力は引き続き増加する見込みのため、今後、需給不均衡がさらに拡大していくことが予測されており、これまで以上に価格競争の厳しい国際競争時代となると見込まれている。

このため、運輸省は、1999年6月より、造船業構造問題研究会を開催し、我が国造船業の構造を分析し、今後の対応策を検討した結果、造船業が今後の厳しい国際競争を生き抜いていくためには、大手造船業の経営資源の統合等による経営基盤及び国際競争力の強化が必要である旨提言した。その後、昨年秋以来、大手造船所において業界再編に向けた動きが出てきている。

また、新形式超高速船テクノスーパーライナーについては、その普及により、新たな超高速海上輸送ネットワークが構築され、地域経済の活性化、新産業の創出等経済社会の飛躍的な発展が期待されることから、2002年度までに実用化を図ることとしている。

さらに、内航船の建造需要の激減から深刻な不況に陥っている中小造船業については、早期に不況を克服し、今後も需要の変化に的確に対応した船舶を供給できるよう、構造改善、新規需要の開拓、雇用の安定等の総合的な対策を実施している。

 

造船対策の概要

 

1] 我が国造船業の再構築

1999年6月より開催された造船業構造問題研究会は、我が国造船業が2000年代の国際競争市場環境へ対応していくためには、大手造船所において、コスト競争力と幅広い営業展開を同時に達成し、営業・設計・調達の各ステージで規模のメリットを実現する強固な経営の統合が必要である旨の報告書を発表した。

こうした背景のもと、昨年秋以来、大手造船所間において、造船部門の包括的事業提携や分社化・合併等に向けた検討が開始される等、業界再編に向けた具体的な動きが出てきている。

 

 

 

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