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(2) 最大せん断力

最大せん断力は、ホッギングおよびサッギング状態ともに、船の前後端より大体L/4のところに生じ、その値Fm(t)はおよそ次式で与えられる。

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(13)

ここに、W=満載排水量(t)、C'=定数、7〜10である。これは、せん断力曲線を第2.29図のように点線で示した三角形とみなして、求めたものである。略算するには大体C'=8.5とすればよい。

 

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第2.29図

 

2.3.4 船体縦曲げ応力の計算

船体の縦強度計算に最も必要となるのは、最大曲げ応力である。これは、船体を中空のはりと考えて、はりの公式(9)により計算する。すなわち

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(11)

による。この式からわかるように、最大曲げ応力は曲げモーメントMが最大となる中央部附近で、断面係数Z=I/yが最も小さい断面で起こる。この断面を強度断面といい、中央部附近で艙口・機関室などの開口の最も広い断面をとる。またyは、中立軸から最も遠い甲板または船底までの距離をとる。

強度断面の位置が決まれば、その断面の曲げモーメントは曲げモーメント曲線図より得られるから、後は、断面係数Z=I/yさえ求めれば、最大応力が計算できる。

強度断面の断面二次モーメントIを計算するには、縦方向に十分長く、L/2位の間にわたって同一強度で通っていて、全体の構造の主要部分として他の部材としっかり結合している部材だけを計算すべきである。この部材を、縦強度部材または単に強度部材という。

強度部材としては、外板・鋼甲板・キール・中心線桁板・内底板・縁板・縦通隔壁・船側縦通材その他の縦通材が入るが、次の部材は一般にとらない。すなわち、方形キール・ビルジキール・サイドキールソン・側桁壁・倉口縁材・単なる間仕切りの縦力向隔壁・トランク・ケーシング・局部的な二重当て板など。縦通部材はなるべく縦強度部材となるように設計・構造することが船を軽く丈夫に作る点において大切であり、溶接構造の採用によって、このことが容易になってきた。(強度断面のI、Zの計算については3.7で述べる。)

一般商船に対しては、構造規則に断面係数の基準値が規定されている(中には甲板の断面積とその他の部材の寸法の形で規定しているものもある)。これは多くの船の実績に基いて、船の主要寸法などに応じて基準を示しているものである。したがって、一般商船では、先に述べるような縦強度計算を行なうことなく、断面係数を算定して縦強度の判定が行われている。

 

 

 

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