1.3.3 鋼材の腐食と衰耗
鋼材の大きな欠点は空気中および海水中、とくに海水のしぶきのかかるところで腐食しやすいことである。最近は鋼材の下地処理(サンドブラスト、ショットブラスト、プライマーコーティング)と塗料が格段に進歩したが、タンク内、二重底内、単底下部などは腐食を完全に防止することはできない。塗料を塗らない状態で、軟鋼板は海水中で10年間に1〜0.6mm位腐食すると考えてよい。この量は大きな応力がかかった状態とか、電流が流れている状態では非常に多くなる。
船体の衰耗量は船齢20〜25年の場合、最大2.5mmに達した例があり、平均の年間衰耗量として、船底外板0.1mm、船側外板、上甲板0.13mm程度と考えてよい。したがって、船齢の終点において所要の強さを必要とするから、新船のときは、腐食余裕として2〜2.6mmを追加しておく必要がある。但し、鋼船の構造規則にはこの値を含んだ寸法が示しているから、設計に当っては、別に腐食余裕を加えてやる必要はない。