3.4 諸試験
諸試験としては、完成後性能を確認するための諸試験と、建造中に法規又は船級協会の規則によって行わなければならない試験とがあるが、ここでは主として基本設計に関係する性能を確認するためのものを、一般に岸壁で行う傾斜及び動揺試験と海上試運転で行う試験とに大別して詳述する。なお、海上試運転方案と海上試運転成績表の様式については、学習指導書に学習用資料として記載してあるので参照されたい。
3.4.1 傾斜試験及び動揺試験
(1) 傾斜試験及び動揺試験
(a) 概要
本船の完成時における重量重心、載荷重量及びに動揺周期の算定を行うために必要な事項を測定する。
(b) 要領
傾斜試験は、移動重量物を横方向に移動させることにより船を横傾斜させて行い、動揺試験は人の移動その他の方法により船を横揺れさせて行う。下げ振り計測回次は5回、試験用重量の移動は4回でFIG.2の順序に行う。傾斜試験終了後、引き続き動揺周期の測定を4回行う。
試験開始前に準備すべきもの及び試験関係は下記の通りである。
試験用器材:
試験用移動重量(※)、下げ振り及び水槽(2)、伝馬船(1)、測深用鋼製巻尺(1)、鋼製巻尺(1)、吃水計(1)、比重計(1)、比重測定容器(1)、風速計(1)、寒暖計(1)、秒時計(2)、ゼンマイ秤(2)、折尺(3)、バケツ(1)、白墨メガホン又は笛(1)、懐中電灯(3)、ボロ布、算盤(3)、線図、排水量等曲線図、一般配置図、機関室全体配置図、容積図、諸タンク容量曲線、測深尺又は測深表、試験当時の記事記録用紙、下げ振り移動距離記録用紙、方眼紙。
(注) ( )内数字は数量を示す。
(※) (2)傾斜試験用移動重量の決め方参照