(6) 水線形状
中小型船は復原性の要求が優先することが多いが、船首・船尾とも水線形状はストレートが望ましい。
プロペラの前方は、プロペラに流れこむ極端な不均一流を生じないような形状とする。
(7) 肋骨線形状(フレームライン形状)
肋骨線形状に関し抵抗の見地からは一般に船首部分は比較的U型断面が、船尾部分は比較的V型断面が有利である。しかしながら具体的に、肋骨線形状の最良のものを決定することは容易でなく、豊富な資料と経験とにまたなければならない。たとえばV型の船尾断面は抵抗上は有利であるが、1軸船の場合にはむしろこれより若干抵抗の大きいV、U中間型が推進性能上有利となる場合が多い。
中小型船の船型は、一般にV型になる傾向が強い。この傾向は、小型船になる程はなはだしい。これは甲板床面積を十分確保するためと、復原性能上よりCWを大きくするためである。プロペラ付近の肋骨線形状はU型とすることが推進性能上望ましい。
(8) ビルジキール及び舵
ビルジキールは、流線を考慮して取付ける。
舵の断面形状は、保針性の面より決めることが望ましい。
(9) その他
シャフトブラケット、ボッシング、サイドスラスター等については、取付位置、形状によって推進性能に相当影響を生じるから、その選定には注意を要する。よく設計された船型ならば、満載状態でトリム零の場合が最も推進性能良好で、軽荷状態に対しては適当なプロペラ深度を与えるため、一般に2〜3%L船尾トリムを与えた場合が最適となる。
2.2.3 復原性能
船は風や波又は旋回等による外部からの横方向の偶力に反応しやすいので、その種類、用途に応じ十分な復原力を持たせる必要がある。しかし、復原力を過大にすると、船の横揺れ固有周期が小さくなり乗心地を悪くし、荷くずれ等を起こす恐れがあるので横揺れ性能も考慮に入れて決定する。
復原性に対し影響を与える船型諸元は次のとおりである。
(1) 静的復原力に及ぼす幅の影響
幅を増加するとBMは増加し、KGを一定とすれば、GMが増すことから、幅を増加することは、復原力を増す有効な手段と考えられる。ただし、海水流入角は小さくなるので、開口が玄側にある場合等には、復原力算定範囲が小さくなることに注意する必要がある。