設計段階で決定すべき事項には、
主要寸法、機関、一般配置、重量、排水量、諸係数、総トン数、プリズマテックカーブ及び水線面形状、線図、タンク容積、貨物倉容積、復原性能、乾げん、推進抵抗、構造等があり、これらの事項は相互に関連がある、したがって、他に影響を及ぼすことの大きいものを、まず想定し、これによって他のいくつかの項目がきまれば、さきの想定値を再検討し、必要があれば修正し、順次その範囲を拡げて全項目に及ぼす、いわゆるトライアル・アンド・エラーの方法がとられる。
したがって、想定、検討、決定の三つの設計段階に分けることができる。
1.3.1 一般的注意事項
(1) 基本設計の初期段階での巧拙は、その後の作業の進展に重大な影響を及ぼすので、整備された類型船の資料と適切な技術的判断とをもって設計責任者みずからがこれを行うべきである。
(2) 信頼できる資料は、自分のところで設計し建造した船舶のデーターが基本であり、一般にあるデーターの平均値を無条件に使用することは危険で、資料の見方、使い方には設計者の適正な判断が必要である。
(3) 基本設計は船価・工程等に影響を及ぼす生産面に対する考慮をしながら、設計者の豊かな知識・経験を基盤として総合的・大局的な判断のもとに行わなければならない。
(4) 一般に設計者の意志を具体的に表現したものが設計図であり、いかに複雑な図面でも設計者の意志を示したものでなければ、単なる製図であって、設計図ではない。この観点からすれば、船主の要求事項については、あらゆる努力を払って希望の達成を計ることは当然であるが、設計者として、どうしても了承できない事項については、船主に設計者としての技術的見解を説明し、お互いに了解できる線に達するまで十分協議すべきであって、安易な妥協は厳に慎まなければならない。
練習問題
第1章