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(5) 海上衝突予防法

海上衝突予防法は、その文字の示す通り船舶の航行について規定したものであり、見合い関係にある船舶において、いずれに避譲の義務があるかを定めるものであるとともに、識別のための船灯、霧中信号、遭難信号についても規定している。これらの規定は終局的には、船舶航行の安全を確保する目的のものである。

(6) 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律

海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律は船舶及び海洋施設から海洋への油及び廃棄物を排出すること並びに船舶及び海洋施設において油及び廃棄物を焼却することを規制し、海洋の汚染を防止するとともに、排出油の防除措置を規定することにより海上火災等による海上災害を防止することを目的としたものである。本法には、船舶所有者等に対し油水分離装置等の海洋汚染防止設備の据付け及びこれ等の設備の検査、オイルフェンス等の排出油防除資材の備付並びに特定の油又は廃棄物の焼却の用に供される設備の検査等が義務づけられている。

(7) 港則法

港則法は、多数の船舶が幅輳する場所たる港における船舶の衝突その他の危険を防止するため、航法、けい留、危険物の取扱、水路の保安、信号等について船舶その他の関係者のとるべき義務と監督の方法を規定しているものである。

(8) 海上交通安全法

海上交通安全法は港則法等と相まって、船舶交通がふくそうする東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の定められた海域における船舶交通の安全を図るため、特別な交通方法、危険を防止するための交通制限、燈火等について規定したものである。

(9) 海上運送法

海上運送法は、海運に関する企業法である。海運事業が独占に走らず、過度の競争に陥らずまた公共の利益に反する取引を一方的に強制することがないように、これらの企業を国家的な監督の下に健全な発達を図って、公共の福祉を増進することを目的とするものであって、船舶安全法とはその対象を異にするものである。ただし、海上における安全なくしては海上運送事業の発達はなく、公共の福祉もあり得ない。かかる高次の意味において両法は互に他を補足する関係にある。

(10) 漁船法

漁船法は、漁業の発達育成のための環の法律として漁船の建造調整、登録、依頼検査、試験に関するものを定め、漁船の性能向上と漁業生産力の合理的発展を目途としている。

船舶安全法は、海上における人命確保の至上目的のため堪航性その他の施設等を定めているものであって、漁船といえども特殊船の一形態に過ぎない現実から、これについても等しく安全確保を期しているものである。

 

 

 

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