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主機関が船橋から制御される場合には、機関室の制御盤から船橋の制御盤に切換える装置が設けられており、船橋制御盤から主機関の起動、停止、正逆転、速度制御が行われる。

機関の無人化を行う船では、機関室の制御場所に設けられた各種警報を主機関係、発電機関係、ボイラ関係、補機関係等にまとめて船橋で警報する他、機関士居室などでも警報を行うようにしてある。また監視、記録の自動化のためデータロガが装備され、圧力、温度、電圧、電流等の計測値を一定時間毎に自動記録したり、警報が発生した場合にその時刻と何が警報したかを自動記録するようになっている船が多い。今後機関部全体の総合的なシステムへとさらに発展して行くと思われる。

(6.2) 航海、航法自動化システム

航海計器として、NNSS装置、衝突予防援助装置等最近のエレクトロニクス技術を利用したものが開発され、その精度も非常に向上しているが、それら全体を組合わせた航海装置の自動化システムはあまり利用されることはなかった。しかし最近になって少人数によって船の運航や高度合理化船の要求から、コンピュータを利用した種々の航海システムの開発がさかんとなり、船のコースを設定指示すれば自動的に最短航路計算を行い効率的な航海が自動的に行えるシステムが実用化されている。この方向はコンピュータの利用技術の発展と、マリサットなどの通信装置の発達に伴い、出港から入港までの完全なワンマンコントロールの方向へと進んでいるが、船の特殊性や安全性の問題等もあり、努力を必要とする。

(6.3) 荷役、係船自動化システム

荷役の自動化についてはタンカーの荷役装置で、集中制御、自動監視等が行われている。その他コンテナ船等各種特殊船等積荷、揚荷に対する制御が相当自動化されている。また、荷役のもう一つの自動化は、積載計画の自動計算及び自動指示である。

船の積荷、揚荷では船の横傾斜バランスを考えながら行われなければならない。このために船の積荷、揚荷の順序を計算したり、バラスト水の注入、排出を計算しなければならない。このような計算はコンピュータの最も得意とするものであるため、良いプログラムを組むことによって実施できるものである。

タンカーの荷役装置の自動化の例では、このような計算によるカーゴバルブの制御を含めたものとして計画されているが、まだ完全自動化までには至っていないが、これらは荷役制御室から行われている。

係船の自動化についてはドップラソーナーを使用して接岸距離を測定、接岸の合理化が行われているが、これを自動接岸までに結びつけるのは容易ではない。接岸、離岸の索取りの自動化、投錨の自動化は船の操船との関係もあり、自動化の最も困難と考えられるが自動化又は省力化を計るために努力が行われる。

 

 

 

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