VHF電話は、港湾無線とも言われ、出入港時に多く利用される。VHF電話には国内電話装置と国際電話装置とがある。国内VHF電話は船舶電話とも呼び、国内の電話回線と接続できるようになっている。国際VHFは、外国にての出入港のパイロット要請、入港連絡、投錨連絡などに使用される。
空中線には、送受信用主空中線、補助空中線、受信用空中線、オートアラーム用空中線、SSB受信用空中線、VHF用空中線、テレビ及びラジオ空中線並びにこれらの共同装置用空中線などがある。
船内常用電源が停電時、無線の送受信は非常電源で使用できるように、通常無線装置には充放電装置、蓄電池、インバータ等が装備されている。また、救命ボートで脱出する場合に救命ボート甲無線機が装備されており、これは可搬形となっている。なお遭難時に自動的に海上に浮上して、遭難信号を出すラジオブイは小型船に多く装備されている。
最近では、海事衛星を利用した通信システムが開発されており、その代表的なもので現在実用化されているものとしてインマルサットシステムがある。これは数個の静止衛星を中継して地上局と船舶局を結び通信するもので、高品質の電話(国内、国際回線との接続が可能)、ファクシミリ、テレックス及びデータ通信に比較して種々のすぐれた機能を持っているため今後ますます発展する方向である。
(6) 自動化装置
船舶の自動化装置には主機関の自動、遠隔制御・自動監視、ボイラの自動、遠隔制御、自動監視、発電機関の自動発停、遠隔発停、自動監視、補助ポンプ、空気圧縮機等補機類の自動発停、故障時の自動切換、遠隔発停、故障監視、燃料油加熱器、給水加熱器、潤滑油冷却器、清水冷却器等の自動温度調節、自動監視、燃料油清浄機、潤滑油清浄機の自動清浄等機関部機器の自動制御、遠隔制御、自動監視のほか、航海装置の集中監視、制御、荷役、タンカーの荷役装置の自動制御、遠隔集中監視制御等、省力化のためのあらゆる装置を含んでいる。従って船舶の自動化装置は次のように分類できる。
(a) 機関部自動化装置
(b) 航海、航法自動化装置
(c) 荷役、係船自動化装置
なお、これらの自動化装置を単に自動化機器の積重ねとして考えるのでなく、全体的なつながりを持ったものとして考えるため、自動化システムと言う言葉が使用されている。これらの自動化機器、自動化装置、自動化システムは現在まだ開発中等のものも多く、今後さらに発展が期待されているものもあるので、ここでは、現状と将来の展望等概要について記述する。