また、第5.24図のような溶接順序により歪みの量が異なることがあるので、それぞれの状態に応じた運棒方法で溶接作業を進めることが望ましい。
ここでは、残留応力の焼鈍について、述べるが、残留応力を、大がかりになくすためには、炉中に入れて、応力焼鈍すればよいが実際には、そのような大きな炉もなく、不可能に近い。以前は、ビルトアップのスタンフレーム等は、よく炉中焼鈍を行ったが、船が大型化するにつれて、1体としては炉中焼鈍がむつかしくなり、全面的な焼鈍がなされなくても、運航上、特に問題が生じない等のことから、最近は、以前程、焼鈍に対する要請はなくなってきている。比軟的手軽に行えるものに、低温応力焼鈍があるが、これは溶接線方向に沿っての応力軽減にのみ役に立つものである。これは第5.25図のように、溶接線に沿って溶接線上では、収縮しようとしているから、周囲の部材から引張られて、引張り応力を受け、その外側は、溶接線に引張られるため、圧縮応力を受ける状態になっているものを、圧縮を受けている部分に加熱し、急冷することにより、この部分に収縮を起こさせ、応力を緩和しようとするものである。