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(2) 母材の大きさと接手の形状

一般的に考えると、母材が大きければ、それだけ冷えやすい。また、溶接付近の構造が、熱が逃げやすくなっている程、冷却速度も大である。即ち、突き合わせ接手よりも、隅肉接手の方が熱の逃げる方向が多いから硬度は高くなる。

(3) 溶接速度

溶接の速度が小さいほど長く熱せられているので冷却速度は小さい。隅肉接手の方が突き合わせ接手より溶接電流をI、溶接の速度をVとすればI/Vが小であるため冷却速度は大である。立向き溶接に比して下向き溶接はVが大であるため1/Vが小となり冷却速度が大となるため、ビード割れなど硬度による割れが発生しやすい。

 

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第4.7図 冷却速度に及ぼす継手形状の影響

 

4.2 残留応力と変形

4.2.1 応力と変形

一般に溶接された構造物は、機械加工業で組み上げられた構造物に比して、大きな応力や変形が残るものである。この応力や変形は、溶接作業を行ったときのアーク熱等により、部材の膨脹等によるものである。通常の材料は、その温度が高くなると膨脹するものであるが、鋼も同様であり、炭素の含有率と温度等によって異なるが、例えば400℃位ではその線膨脹係数は1.4×10-5/℃程度である。即ち、今、1,000mmの部材があって、その温度が10℃の常温から約500℃上昇したとすると、7mm程度伸びることになる。この溶接中に7mm程度伸びたいという力が、もし他の部材がそこにあって伸びることができないとすると、結局、部材の中には、両端から押しつけられる力となってはねかえってくる。この力が内部応力となる。この熱と内部の残留応力の仕組を第4.8図のH型拘束試験片に例をとって説明しよう。

 

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第4.8図 溶接残留応力の発生機構

 

 

 

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