ハ) 溶接トーチ
溶接トーチは常に作業者が手に持って溶接作業を行うためのもので、溶接ワイヤー及びガスがここに送られて来て給電され、かつ、ワイヤーとガスが自動で送給されて溶接作業ができる。尚トーチはアーク熱により熱くなるので冷却方法として、水冷と空冷式がある。
ニ) 遠隔制御器
溶接電流及び溶接電圧の調整器、その他インチング押ボタンがセットしてあり電圧、電流調整はすべてここで行う。すなわち、電流調整用ボリュームを廻すことによって、ワイヤーの送り速度が変り、これによってワイヤーの溶ける速度も変化する。電圧調整もボリュームを廻すことによって行うが電圧調整とは、アーク長を変えることを意味する。
ホ) ガス流量調整器
圧力調整ツマミ、圧力計、ヒータ、流量計、流量調整ツマミ等によって構成されている。
ヘ) 冷却水循環装置
500A水冷トーチを使用する場合、冷却水を循環させなければならないが、直接水道栓より引く場合と、冷却水用タンクを備え付けていて、水を循環させている場合がある。
炭酸ガス、ソリッドワイヤー方式は、鋼の溶接に対して現在もっとも普及している。半自動溶接法でSi、Mnなどの脱酸成分を含むソリッドワイヤーを用い、炭酸ガス雰囲気中でアーク溶接を行うので、安価な炭酸ガスを用いる点、大電流密度の溶接が可能である点、大きな特色を持っている。炭酸ガスは、高温のアークによって次式のように一酸化炭素に解離する。
解離したCO+Oは全体として弱い酸化性を呈しているため、この雰囲気中に溶融鋼が存在すると2]式のような反応を起こす。
2]式で生じたFeOの一部は溶融鋼中の炭素と化合して3]式に示すようにCO2を発生する。
このため、溶融鋼が凝固する際にCOの一部が気泡となって溶着鋼中に残留しブロホールやピットとなる。
酸化鉄(FeO)や一酸化炭素(CO)が残留しては良好な溶接ではない。FeOをFeにもどし、COを除く立役者が必要である。