2.2 アーク溶接
2.2.1. 被覆アーク溶接
最も普通に使われているもので、溶接棒は金属のまわりに、各種の組成のフラックスが塗布されており、溶接時に、このフラックスが、ガス状になり溶接のまわりに、シールドする雰囲気を構成する。溶接時のアーク熱は約6000℃位の高熱となり、溶着金属は、高度の精練作用を受けている。溶接時の溶接部の状況は第2.1図に示すような状態となっていて、溶着金属は、一部の母材部分を溶かしつつ、溶着部を構成する。手溶接棒においても、各種の溶接棒が開発されてきて、裏側にも、ビードの波を出す裏波溶接棒、普通立向溶接は上進の運棒で行うが、下進で行うことによる、ビードの形状の美麗と、能率向上を狙ったもの等がある。
この2種は、それぞれに特殊な技能が要求されるために、溶接工なら、誰でもやれるというわけではない。実地に使用するためには、十分、練習を行わなければならない。
能率向上のために、すぐにでも使って行きたいものに、グラビティー溶接がある。これは水平隅肉溶接に対して威力を発揮するものであって、第2.2図のような構造になっている。
グラビティーとは重力の意味であって、重力により棒が溶けるに従って、下って行き、人手を加えないでも、溶接棒のあるだけ、溶接するものである。従って、1人で数台のグラビティー溶接機を使用することができ、3台〜4台、特に、同じような部材をやり易い状態で作業する場合には、10台以上も使用する例がある。ただし、溶接機はいずれも、連続運転するようにはできていないのでグラビティー溶接機のように連続で使用する場合は、注意しないと、容量がギリギリのものを使用すると、焼損する恐れがある。