このIIWの式は日本海事協会も採用している。
溶接部の最高かたさ試験は、第1.4図の要領に従って行われる。また溶接部の最高かたさは試験溶接時の冷却速度が変わると著しく変動する。そこで、溶接部の冷却時間と最高かたさの関係を示す溶接硬化曲線を求めるテーパーかたさ試験を行うことがある。その試験要領を第1.5図に、また溶接硬化曲線の例を第1.6図に示す。
(2) 割れ感受性
鋼材に適した溶接施工を行わないと溶接部に欠陥を生じるが、その代表的な例を第1.7図に示す。これらの欠陥の中で、もっとも重要なものは溶接割れである。使用鋼材の割れ感受性を知り、それを考慮して溶接施工条件を設定する必要がある。割れ感受性に及ぼす因子として、硬化性、水素量、拘束度などがあげられる。船体構造では隅肉溶接が大半を占めるが、特に割れ発生傾向の高い上向隅肉溶接の場合、溶接金属の強度が高いほど、拡散性水素量が多いほど、炭素当量が高いほど、また鋼板の初温が低いほど割れは発生しやすくなっている。