その他、いろいろの方法があるが、ドラグチェーンの使用量は、普通進水重量の2〜6%位である。満潮時に進水させることにより、進水速度を減じて行足を短くするのも賢明な方法である。
6.3.11 台車配置
台車の位置とその個数を決めるにあたっては一般に次の点を考慮する。
(1) 車輪一個の平均荷重が6〜10トン以下になるように台車の個数を決める。
(2) 台車の間隔は中心間で最大10m以下とする。
(3) 船首尾のオーバーハング量はできるだけ少なくする。
(4) 重量分布の多い部分に配置する。例えば、機関室、重心位置、船首水タンクの下部等。
(5) 横隔壁や骨材の下に必ず配置する。
(6) 船体形状からみて、余りやせた部分は安定性上好ましくない。
上記の点を考慮すれば、その船に最適の台車配置は、自ずから決まってくる。
6.3.12 レールと台車
レールは二条の場合が普通であり、一般には、耐圧力50Kg/cm3の鉄道用レールが使われる。
枕木は樫、欅等の硬材が望ましいが、最近は米松、日本松等も使用される。枕木は、船体据付け位置、前端圧力が掛る位置、船台強度の弱い部分等は、両玄通しで、間隔を密に配置する。
レールと枕木はボルト締めで固着し、レールの幅の精度、上下の凹凸状態、両玄の水平等に注意する必要がある。
台車は鋳鋼製の車輪に、木製または鋼製の枠が取付けられた構造である。一台に4車輪、車輪の径300mm、真鍮ブッシュを挿入して、車輪自体が回転するものが一般に使用されている。
一車輪の耐圧荷重は6〜10トン以下で使用するのが望ましい。使用前後には、必ず、点検、手入れ、注油を行うのが原則である。
6.4 進水準備作業
6.4.1 盤木差替え作業
小型船では進水後、引渡しまでに入渠または上架は、行われないのが普通である。従って、船底外板の塗装は余す所なく完全に施行されなければならない。盤木部分の塗装は、ブロック搭載前に行うのが理想である。盤木部分の塗装は、盤木を外して行い、再び盤木を進水まで入れて置く。
盤木差替え作業時の注意事項
(1) 船殻工事が完全に終ってから行う。
(2) 船体が局部的に下らないように、隣りに、新たに盤木を入れるか、又は周囲の盤木を増締めしてから取外す。