5.7 裏堀り作業
突合わせ継手では、表面の開先部溶接後、裏から堀り、裏溶接のために開先形状を整える必要がある。欠陥のない溶接をするために溶込み不足、スラグ、気泡等の欠陥が完全に除去されるまで堀らなければならない。しかし裏堀りの深さは必要最小限にし、板厚3.2m/m以下ではその必要はない。
裏堀りの方法には次の三つがある。
(1) ニューマチックハンマーによる方法
一般にハツリ作業にもちいる鉄砲と丸面たがね、圧縮空気によるものである。軽便、安価であるが、騒音を発し、体力、熟練を要し、狭隘個所には不向きである。少い作業量の場合に適する。
(2) ガスガウジングによる方法
中圧アセチレンを使用し、騒音もなく能率も良い。熱を発生するため、薄板では歪を発生したり、亀裂発生の恐れがある。
(3) アークエアーガウジングによる方法
直流溶接電源と炭素棒を使用する。全姿勢において、高能率であり、欠陥の発見もしやすく、極めて有効である。熱影響部も少なく、歪、亀裂発生も少ない。防炎、防塵、換気が必要である。外板等裏堀り量の多いものに適する。
一度溶接すると、裏堀りの可否はチェックできない。溶接前に必ず裏堀り状態を自主検査して、欠陥のない溶接をするように努力する必要がある。