第4章 組立作業
4.1 組立作業の概要
4.1.1 組立工程とは
組立工程は加工と船台の中間工程であって、ブロック建造法の採用により生れたものである。
加工工程で加工された部材を、一つの塊りであるブロックに纏めて、船台に送り、船台工事量の減少と、船台期間の短縮を主目的とするものである。
従来の船台工事の大半を作業条件の良い地上作業に移すことにより、作業能率、品質、精度は飛躍的に向上する。
ブロック建造法による船殻工事の主体は、船台よりも、むしろ組立工程であり、その工事量は船殻全工事量の30〜40%にも達する。
従って、この工程の能率の良否は、全船殻作業の能率に大きく影響し、その品質、精度は船殻の最終の精度を決定する。
4.1.2 組立工程の概要
組立工程では、短期間に生産量をあげなければならない。その生産性はクレーン、組立定盤溶接設備及び適切な材料の供給と定常化された工程と配員の流れにより、規制される。組立工程を設けることにより次のような利点が生ずる。
○作業の大半を、平面における下向きの姿勢に置き換えられる。このように溶接の姿勢を下向きに置き変えることを“ポジショニング”という。
○作業を質的、系統的に分類できる。
ブロックの形状別に組立場を分けることにより、同種作業の繰り返しによる流れ作業により、専門化、能率化できる。
○作業が標準化される。
材料、人員、工程の流れが定常化され、技術、品質管理が安定する。
○専用の定盤、治具使用により、作業が単純化され安全性、精度が向上する。
○作業環境が船台作業に比べて極めて良い。
4.1.3 小組立
組立工程は、生産の能率及び管理上、部品組立の小組立(サブアセンブリー)とブロック組立の大組立(アセンブリー)に分ける方が有利である。
小組立とは、例えばスティフナーにブラケットを、フロアーにフェイスプレート等を取付ける作業のように部材をより大きな部材の集まりに組立てることである。流れ作業の管理の基本である“標準化、単純化、専門化”の利点を取り入れた方式である。この部品を大組立に供給することにより、大組立の作業は容易になり、能率があがり、定盤の回転は良くなる。