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II. 身体障害者用ヨットの艤装品の研究開発

 

II.I. セールトリム装置の身体障害者対応設計

 

II.I.I. 筋力測定によるウィンチサイズとその他セールトリム装置の最適化

 

1. はじめに

筋力測定装置の製作、筋力測定データの収集、筋力測定データの解析及び解析結果に基づくセールトリム装置の障害者対応設計の検討を行った。

当該業務を行うに当たり、東京大学生産技術研究所木下研究室並びに特定非営利活動法人ヨットエイドジャパンの協力の下に、筋力測定装置の製作を東京大学生産技術研究所の試作工場で行い、また、障害者の筋力測定を東京都障害者総合スポーツセンターで行った。

以下に、目的、意義、筋力測定装置、筋力測定、測定結果、セールトリム装置の最適化と安全性の検討について順に述べる。

 

2. 目的

ヨットを操船する際には、セールを操作するためにロープを引いたり、ウィンチを回したりする動作が必要となる。身体障害者用ヨットの開発に当たり、身体に障害を有する者がこのような動作を行う際にどの程度の力を有しているのかを筋力測定装置を用いて実際に測定し、その結果から採用するウィンチの大きさの決定、セールトリム装置の最適化を行う。

 

3. 意義

乗艇者の有する筋力からウィンチの大きさ等を決定していくプロセスは、既存のプロセスには皆無の視点からのアプローチとなる。つまり、既存のプロセスは、艇の大きさ(全長)が決まれば経験的(最も一般的なセーラーを標準として)にこれらは決定されていた。よって、どのような属性を有する人間が乗艇者となるかの吟味はなされていなかった。

したがって、乗艇者として障害を有する者を予定し、その有する実際の筋力からウィンチの大きさ等を決定していくことは、乗艇者を主体とした人間側からの実艇開発のアプローチであるということができる。

 

4. 筋力測定装置

ヨットの操船に必要となる、ロープを引いたり、ウィンチを回したりする動作を、障害を有する者が実際にどの程度の力で行うことができるのかを検力するために筋力測定装置を製作した。(写真・4)

 

 

 

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