巻頭言 No.36
これからの一〇年
―さわやか丸の針路―
さわやか福祉財団理事長 堀田力
これまでの一〇年
一○年前、渋谷の小さな事務所でスタートして以来、さわやか丸はひたすら「新しいふれあい社会」を目指して進んできた。
この一〇年、ふれあいボランティア活動をする団体はおよそ一〇〇から一五〇〇に増え、ボランティアの数もめざましく増えた。ふれあいボランティア活動の基礎となる公的介護保険制度も創設されたし、ボランティア活動を組織的に進めるためのNPO法もでき、甚だ限定的ながら、NPO活動支援税制も、今国会で認められるところまで来た。子供たちにボランティアの心を教える学習も、かなりの勢いで取り入れられつつある。
今や、市民は動き出し、それにつれ、制度も動き出したといえよう。
二一世紀の針路
しかしながら、新しいふれあい社会は、まだまだ実現していない。
子供たちは個性を認められておらず、自分が認められていないから、人にやさしくする気持ちになれない。
大人たちの多くも、まだ経済至上主義の価値観から抜け出せず、だから、政治も経済も社会も「心の豊かさ」を実現するためにどのようにすればよいのか、答えを見つけられないでいる。