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神戸市は八月三一日、神戸市消費者協会に「介護保険評価委員会」(代表・妹尾美智子神戸市消費者協会専務理事)を設置した。消費者の視点から介護保険による在宅介護サービスの質と、ホームヘルプサービス提供事業者を採点し、その評価結果を市民に提供するためである。

(取材・文/尾崎雄)

 

神戸市消費者協会に第三者評価機関を設置

 

神戸市の第三者評価の仕組みはざっとこんな感じだ。神戸市消費者協会に所属する調査員が介護保険サービス事業者の管理者、ホームヘルパー、サービス利用者を訪問して、1]サービス管理の仕組み、2]ヘルパーの働き方やサービス内容、3]利用者の感想―を聞き取って調査表に記入。項目ごとに点数化し、それらを「統合」して◎、○、△の三段階にランキングする。その評価情報は利用者の求めに応じて在宅介護支援センターから提供する。介護保険の給付を受ける人はサービス事業者を選んでケアプランを作るとき、これを“通信簿”に見立てて業者を選ぶ目安にすることができる。

評価するのは二二項目。ヘルパーの研修・教育内容から苦情対応体制といった管理体制のほか、人権・プライバシーへの配慮、生活意欲を引き出す工夫に至るまで事細かに配慮している(次頁参照)。

たとえば「生活意欲を引き出す工夫」では、事業管理者とヘルパーの両者から三段階の自己評価を聞き、利用者からはヘルパーの来訪について「非常に楽しみにしている」から「憂鬱になる」まで四段階で評価を聞いている。こうして管理者、ヘルパー、利用者の自己評価と他人評価の各点数を「統合」して総合評価が導き出される。テキパキと時間内に介護するビジネスライクなヘルパーを選ぶ高齢者もいれば、介護技術よりもやさしい応対を求める高齢者もいる。「各事業者の特性を比較して自分に合った事業者」(神戸市の資料より)を見分けることができ「利用者本位の選択が可能」(同)と神戸市は自賛する。

 

事業者が協会と契約して評価を受け、市が評価データを買う

 

評価に当たる「介護保険評価委員会」の体制は神戸市消費者協会のスタッフ一七人と調査員六〇人。

 

 

 

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