巻頭言 No.34
国民を信頼しよう
さわやか福祉財団理事長 堀田力
「ご隠居さん、戦後の日本が大変な経済成長を遂げたのは、誰のお陰ですかね」「おや、まぁ、八つぁん、今日はのっけから大まじめな質問だねえ。それは、やっぱり企業で、それを助けたのがお役人と政治家じゃないの」
「わかってないねぇご隠居さんも。その辺の学者やお偉方と同じ考え方だ。正解は、国民ですよ。日本の国民が一生懸命知恵を出して働いたから、日本は一流の経済大国になれた」
「なるほど、こりゃ参った。それが素直な見方だ」
「それじゃご隠居さん、第二問。国民はどうしてそんなに頑張ったか」
「まるで口答試問だね。そりゃあ少しでもいい生活をしたいと思ったからだろ」
「第三問。どうしていい生活をしたいと思ったか」
「はて、と。どうしてと言ったって、八つぁん、人は誰だってもっといい生活をしたいと願うものなんじゃないのかえ」
「自信なさそうにおっしゃるが、それが大正解でさ」
「なにを偉そうに。一体、何が知りたくてそんなことを聞くのか。それがこっちの第一問だ」