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1] 時間預託を採用する人は個人の収入となる?

現金請求権のある時間預託は、債権として成立していることになりますから、厳密にいえば、時間預託であっても、個人の収入として計上する必要があります。しかし、有価証券的意味合いを切り離した時間登録(時間記録)によるふれあい切符制度は、債権債務の関係にはありません。この種のふれあい切符は、労務提供責任もサービス請求確定権でもなく、お互いの助け合いにおいて、優先的に労務を受けるだけですから、債権ではないということです。

 

2] ふれあい切符の経理上の処理

とてもむずかしい分野に入って来ましたが、ふれあい切符の現金請求権を切り離して団体への寄付とし、個人は時間のみ登録(時間記録)した場合の経理は、収入として「時間預託寄付分収入」を計上し、支出としては「特定預金積立金支出(時間預託積立金支出)」として基金へ、また、次年度以降、その基金から時間預託分を引き出す場合は「時間預託積立金取崩収入」として計上していきます。

 

ところで、時間預託分を預り金で処理しているところがありますが、NPO法人格取得に際しては、現行のさまざまな法律に抵触することになり、その一つが信託業法や出資に関する法律です。法に定められたところ以外は、預り金を受け入れることはできないとされていますから注意を要します。

つまり一番望ましいありようとしては、現金請求権を持たせずに、有価証券的意味合いを切り離すこと、すなわち利用謝礼金は団体に寄付をし、本人は時間のみ登録(時間記録)とすることという、ふれあい切符の持つ基本的性格の原則に還ることだといえましょう。

 

 

 

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