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早速、案を作って示したところ、「結構です。そのとおりお願いします」となりました。

証書作成の当日の朝早く、その女性から電話がかかってきて、申し訳なさそうに、少し付け加えてほしいことがあると言うのです。わかりました、と書き加えた〔付言事項〕は、次のようなものでした。

「よく飛行機事故に遭っても、幼い子が不思議に助かったという話を聞きます。娘夫婦と私が死んでも、孫だけは助かるかもしれません。もしそういうときは、弟の○○さん、孫が立派に成人するまで面倒を見てくださいね」

近く成田を発つという。「4人で無事、元気に戻ってきてくださいね」と言うと、「はい、ありがとうございます。そのときは、今日のこの証書を取り消して、私の財産は娘に全部残すという遺言証書に書き直してもらうことに致します」

3年間の暫定的遺言、なかなかいいなと思いました。

その数日後のことです。新聞にマニラ発ダバオ行きエア・フィリピン航空機が墜落、131人全員死亡の記事が出ました。目が釘付けになりました。記事には日本人乗客はいないとあり、ホッと胸をなで下ろしました。

 

 

 

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