これまでに五〇〇人ほど養成しました。正規ヘルパーの予備軍というか、準ヘルパーですね。
さて、四月に介護保険制度がスタートしました。市長を辞められるまで介護保険の準備を進めてきたわけですが、どう見ていますか。
何しろ初めての社会保険制度ですから、PRが行き届かなくて、不安を抱えながらの船出だったと思います。高槻市でも要介護者の判定のし直しがあったと聞いています。各地でもさまざまな問題があったでしょうが、大きなトラブルはなかったと思いますよ。問題があれば、時間をかけて手直ししていけばいいのでは。厚生省も地方自治体も新しい制度を導入するときは、杓子定規に事を運びがちですが、介護を受ける高齢者は一人ひとり違うのですから、そこのところをよく考えて進める配慮が必要です。特に痴呆症の人の介護に心を配ることが大事で、「心の介護」をどう進めるか、みなで知恵を出し合っていきたい。ヘルパーの資格のない人でも、正規ヘルパーと一緒に動けば、高齢者の話し相手になれるのです。家族の介護をどう評価するかもこれからの課題でしょう。
「介護控除」を導入したら
自民党の代議士さんが家族の在宅介護に手当を出せと主張して、だいぶ反発を買いましたね。
家族介護の費用をどうするかは、むずかしい問題です。ドイツのように手当を支給するのも一つの手かもしれませんが、「それで家族がどれだけ完壁な介護ができるか」と言えば、それには限界があります。どんな専門家でも、介護に一〇〇パーセント完全ということは望めない。「ほどほど介護」が家族介護の実態ではないでしょうか。もちろんぼくだって自信はおまへん。ただ在宅介護をしておられる家族の苦労と経済的な負担を無視してよいものかどうか。
なかなか悩ましい問題ですね。
この問題は放っておいたら、いつ不満が表面化するかもしれません。二〜三年やってみたら、答えは出てくるでしょうが、何らかの配慮をしてほしいと思います。これはぼくの勝手なアイデアなんですが、直接介護手当を出さなくても、税制の所得控除の形で「寝たきり控除」とか「介護控除」を認める制度はできないだろうかと考えているんです。実際に苦しんでいる家族の身になってほしい。これからはダンナが介護する家も増えてきまっせ。