お巡りさん2人が焼き芋屋をパトカーに押し込んで連れて行っちゃった。怪我人は救急車でプーパー、プーパーよ。一件落着と思ったら、そのあとのことよ。残った若いお巡りさんが1人で焼き芋屋のリヤカーを交番かどこかへ運んで行こうとしたのね。交通の邪魔になるから。ところがいくら引っ張っても動かないの。石焼き芋だもの、リヤカーには石がいっぱい詰まった釜や薪なんかが積んであるから重いのよ。それにコツがあるのね、リヤカーを引くのって。お巡りさん、柄(え)を握って必死に引っ張ろうとするんだけど、あんなへっぴり腰じゃダメよ。あっちへヨロヨロ、こっちへフラフラ、リヤカーが思うように動いてくれないわけ。その格好が面白くって、思わず吹き出しちゃったわよ。あ、でも、これって笑っちゃいけないんだ!」
なんて言いながら、3人で笑い転(ころ)げている。
いきなり診察室のドアがバタンと開いた。女医さんが目を三角にして、「うるさい!ここは公園のベンチじゃないのよ。そんなに騒ぐんだったら、もう診てやらない。3人とも出ていきなさい!」
この3人の楽しい仲間たち、きっと長生きするにちがいありません。