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日本経済新聞の全国市町村調査(3月中旬、回答率55.9%)によると、「在宅3本柱」の充足率(利用希望量に対し自治体か実際に提供できる量の比率)は全国平均で68.1%。そのうち自宅にいたままサービスを受ける訪問介護と施設に滞在する短期入所について充足率は100%と答えた市町村はそれぞれ63.1%、61.0%だったのに対し、通所サービスである「デイ」のそれは53.0%にとどまっていた。

訪問介護はいわば人材派遣業。設備投資が不要なだけに営利目的の民間企業か参入しやすいのでサービスの質はともかく、供給余力が見込める。それに対して「デイ」は建物、施設が必要なため投資がかさみ、企業の進出に歯止めがかかり、その分供給が不足する。

 

「デイ」の原点は市民がつくった宅老所

 

厚生省がまとめた介護保険指定事業所の申請・指定状況(4月1日現在)によると、訪問介護の指定を受けた営利法人は4507の中で「デイ」の指定を受けた営利法人は244に過ぎなかった。デイ事業所7510か所のうちの3.2%にとどまっている。

このため、民間企業のデイセンター開設費用を補助してデイ供給増に取り組む自治体も現れた。埼玉県川口市は2か年計画で10社に補助、「デイ」供給率を現在の40%から80%に引き上げる。

ただ、この「デイ」不足対策を営利企業に任せておいていいのだろうか。在宅支援の歴史は住民たちか家族に代わって高齢者を預かる宅老所から始まった。それがどれだけ高齢者本人と家族を助けたことか。

「在宅」の原点「デイ」の供給不足は住民自身がつくる草の根サービスの出番を促している。

 

(※)在宅3本柱とは、1]訪問介譲、2]デイサービス、3]短期入所。

 

 

 

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