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巨大な人口を抱える政令指定都市では、どのようにして介護保険に取り組んでいるのだろう。大都市だからこそ生み出されたアイデアと工夫、今後の課題を探るため一〇〇万都市「北九州市」を訪れてみた。

(取材・文/高山歩)

 

北九州方式で政令指定都市トップの高齢化率に対応

 

福岡県北部に位置し、かつては北九州工業地帯の中心地として栄えた北九州市。公害という負の遺産を克服した今、同市が最も力を入れているのが高齢化対策である。高齢化率は九九年九月末時点で一八・三%。全国平均の一六・七%を一・六ポイント上回り、政令指定都市の中では最も高い。急激な高齢化を視野に入れながら、誰もが安心して暮らせるまちづくりに向けた取り組みが急ピッチで進められている。

そのキーワードが「北九州方式」だ。地域(小学校区)・行政区・市の各レベルからなる三層構造のネットワークをつくり、保健・医療・福祉に関するさまざまな問題の解決に市民と地域が中心となって取り組む。具体的には、小学校区(一三七校区)にまちづくりの拠点となる「市民福祉センター」、行政区(七区)に各小学校区の市民福祉センターをサポートする「保健福祉センター」を設置。さらに市レベルには地域と区の取り組みをより専門的、技術的にバックアップする「総合保健福祉センター」を設けている。

このように高齢化対策に積極的な北九州市の介護保険制度は、特に大きな問題もなく順調にスタートした。「準備段階からいろいろなしかけを作ってきたからです」と北波孝介護保険課長。

たとえばケアマネジャーの身分証。市が統一様式を公表し、四月末時点で既に約四四〇枚が居宅介護支援事業者の手に渡っている。

 

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